旅と散歩の話

雑記系のブログ。旅行と地域ネタを中心に、心理学やサブカルチャーに関する話を書いています。

小ネタまとめ(3・権力者に従いますか?それとも楯突きますか?)

ツイッターで自動投稿している小ネタのまとめ。

今回は「ミルグラム実験」です。

 

生徒に電気ショックを流してください。あなたなら出来ます。

ミルグラム実験とは閉鎖的な状況で権力者に指示された時、

人間はどう行動するのかを試した実験です。

内容を簡単に説明します。

  • 「教師」「生徒」「博士」の3人に分かれて行う。このうち被験者は「教師」で「生徒」と「博士」はサクラ。
  • 「教師」は「生徒」に問題を出し、「生徒」が間違えると罰として電気ショックを「生徒」に流す。
  • 間違える度に電圧が上がる。電圧の強さは全部で30段階。
  • 「生徒」は電圧を受ける度に悲鳴を上げる。そして、電圧が上がる度にその声は悲痛なものになる。以下はwikipediaより引用。
  1. 75ボルトになると、不快感をつぶやく。
  2. 120ボルトになると、大声で苦痛を訴える
  3. 135ボルトになると、うめき声をあげる
  4. 150ボルトになると、絶叫する。
  5. 180ボルトになると、「痛くてたまらない」と叫ぶ。
  6. 270ボルトになると、苦悶の金切声を上げる。
  7. 300ボルトになると、壁を叩いて実験中止を求める。
  8. 315ボルトになると、壁を叩いて実験を降りると叫ぶ。
  9. 330ボルトになると、無反応になる。
  • 被験者(教師)が実験の続行を拒否しようとすると「博士」が被験者を説得する。
  • 続行してください。
  • この実験は、あなたに続行していただかなくては。
  • あなたに続行していただく事が絶対に必要なのです。
  • 迷うことはありません、あなたは続けるべきです。
  • 4回説得されても被験者が拒否した場合はその場で実験は中止される。中止しない場合は電圧が最大レベル(450ボルト)に引き上がるまで続く。

 

実験結果が意味するもの

さて、この条件で最高レベルまで電圧を上げた人はどのくらいいたのでしょうか?

予測では0.125%という数字が出されていましたが、

結果は予測を大幅に上回りました。

40人中25人、過半数の62.5%の人が「生徒」に電圧を与え続けたのです。

 

なお、被験者はあくまでも一般人です。

刑務所に収監されている「凶悪犯」などではなく、

広告などで集められた「ごく普通の人」たち。

電気ショックを与えている時も、

苦悩の表情を浮かべていたそうです。

 

それでは、なぜ「ごく普通の人」である彼らは実験を止めなかったのか?

それは「権力者」に指示されたから。

 

彼らは止めたいと思いながらも「権力者」に続けるよう指示されたために

「仕方なく続けていた」

のです。

 

アイヒマンという男

そもそも、なぜこのような実験が行われたのでしょうか?

それはナチスの高官であったアドルフ・アイヒマンという男が関係しています。

彼はユダヤ人迫害計画の中心人物の一人。

戦後はアルゼンチンに逃亡していましたが、

後に捕まり死刑となりました。

 

多数のユダヤ人を収容所送りにしたので、

当時の人々は凶悪な人物像を想像していましたが、

実際はその逆でした。

 

「自分の昇進にはおそろしく熱心」で、

「ボタンを押せと命じられればボタンを押し」、

「知性に関していえば興味を引くところはなく」、

「多くの人が彼に似ていた」そうです。

 

実際、彼が捕まった時も

「街中で妻への誕生日プレゼントを買った時の帰り道」

ですからね。

「どこにでもいるような人物」だったわけです。

 

では「どこにでもいるような人物」である彼が

なぜユダヤ人の迫害計画に関わったのでしょうか?

その答えは彼の発言の中にあります。

「(略)私は当時、命令に忠実に従い、それを忠実に実行することに、何というべきか、精神的な満足感を見出していたのです。命令された内容はなんであれ、です。」

「戦争中には、たった一つしか責任は問われません。命令に従う責任ということです。もし命令に背けば軍法会議にかけられます。そういう中で命令に従う以外には何もできなかったし、自らの誓いによっても縛られていたのです。」

「私の罪は従順だったことだ。」

 

まとめ

人間の行動には多かれ少なかれ「環境の力」が作用しています。

特に組織の中のような「閉鎖的な状況下」では強く働くことがあります。

もし自分の考えとは全く違う意見が口から出て来たら、

それは「環境の力」が働いているかもしれません。

 

例えば、会社で突然の休日出勤や飲み会への強制参加など、

自分の意に合わないことを「社長」や「上司」のような

「権力者」から頼まれたらどうでしょう?

 

人によっては拒否することが出来るかもしれませんが、

誰しもが出来るとは限りません。

「権力者」から頼まれることで自分の意に反しながらも同意してしまうのは、

ミルグラム実験が証明しています。

 

繰り返しますが、

人間の行動は性格などの内面だけでなく、「環境の力」も作用しています。

このことには十分留意して欲しいと思います。

 

ではまた(´・ω・`)ノシ

 

追記(17年5月30日)

最近になってアイヒマンテストが再び行われたという記事がありました。

最後まで押し続けた人は1963年の62.5%に対し、

今回のテストでは90%(80人中72人)まで上ったそうです。

wired.jp

 

生徒役が男女半々になるなど、

従来の実験とは異なる点はありますが、

なぜ9割もの人が最後まで電気ショックを流し続けたのかは興味深い所。

現代人は過去に比べると組織の力に服従しやすいと言えるのかもしれません。

 

 

 

■参考書籍

心理学概論 (放送大学教材)

心理学概論 (放送大学教材)

 

 

■参考URL

ミルグラム実験 - Wikipedia

アドルフ・アイヒマン - Wikipedia

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