旅と散歩の話

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【マギレコ8章考察(2)】「環いろは」が紡ぐ「死と再生」の物語?

文字にはたくさんの種類があります。
アルファベットの表記で使われる「ローマ字」や、韓国で使われてる「ハングル」、あるいはイスラム圏で使われる「アラビア文字」など実に様々です。

さて、日本語では「ひらがな」「カタカナ」「漢字」が使われているのですが、その中でも「漢字」は面白い特徴を持っています。
それは1つ1つが文字であると同時に、それ自体が意味を持つ単語であること。漢字には「音読み」「訓読み」がありますが、「音読み」は文字通り「音」を表すのに対し、「訓読み」は「意味」を表します。

例えば「偽」という字ならば、
「ギ」という「音」を表すと共に「にせ」「いつわ(る)」という「意味」を持っている訳です。
さらに漢字は「へん」や「つくり」からも意味が取れます。
「偽」であれば「にんべん」を持っていますが、これは人間および人間の行為や動作に関連する字に用いられるものです。

まとめると「偽」という字には下記のような意味になります。
 1.自然でないもの
 2.本物でないものをらしく見せる。似せる。虚構。
 3.人為。人の為。

では同じ要領で「環いろは」に使われている漢字、つまり「環」にはどのような意味があるのか?
今回はそこから考察してみたいと思います。

第8章のタイトルは偽りに彩られ神浜」

 
「環」という字

「環」には下記のような読み方と意味があります。
 音読み:カン
 訓読み:わ、めぐる、たまき
 1.輪の形。巡って端の無いこと
 2.まわりまわる。めぐる。かこむ。
 3.古代の腕飾りの一種。輪をなした玉。たまき。

「環」の偏の部分は「王」の字ですが、これは「おうへん」ではなくて「たま(玉)へん」又は「ぎょくへん」と読みます。

そもそも「玉」という字にはどのような意味があるのか?
訓読みの「たま」は、ビー玉やパチンコ玉などの「丸いもの」を意味するのですが、音読みの「ぎょく」では「地位の高い人物(王様など)」「優れて美しいもの」「価値のある石(宝石)」という意味があります。

なぜ「玉」という字にこのような高貴な意味があるのかというと、それは漢字の成り立ちに答えがあります。「玉」という字はいわゆる「象形文字」で3つの「たま」を縦紐で通した形から成り立っています。そしてここでいう「たま」とは翡翠のこと。古代の日本や中国では腕輪などの装飾品に加工され、祭祀などで用いられていたそうです。

「美しい花には棘がある」という言葉があるように、宝石にも「訳あり」なものがある。ちなみに「宝石」を英訳すると「ジェム(gem)」になる。

 
「環」と「蛇」、そして「大洪水」

これまで旧約聖書の「アダムとイブ」そして「ノアの箱舟」を参照して考察して来ましたが、両方のエピソードには「環」と紐づけ出来る言葉があります。
それは「蛇」と「大洪水」。
なぜこの二つなのか、以前と同様に旧約聖書からストーリーを考察してみようと思います。

旧約聖書を参照したこれまでの考察記事はこちら。
【マギレコ7章考察(2)】二つの「楽園」の「前夜祭」 - 旅と散歩の話
【マギレコ8章考察(1)】21cm線とワルプルギスの夜を繋ぐ「虹」 - 旅と散歩の話

まずは「環」と「蛇」。
そもそも蛇という生き物は、脱皮して大きく成長するところや、長期の飢餓状態にも耐える強い生命力を持つことから「長寿」や「不老不死」の象徴とされてきました。その例の一つとしてウロボロスがあります。自らの尻尾を加えるその姿は正に「環」の形となっており、西洋東洋問わず、多くの文化で「循環性」「永続性」の象徴とされてきました。

そして「環いろは」を「蛇」に例えられるシーンは実際にあります。
それが第7章16話「楽園の意味」(考察記事はこちら

鶴乃を「遊園地のウワサ」から「解放」させたいろは達ですが、マギウス側から見れば「イブ」を唆した「蛇」そのもの。
実際、旧約聖書の「アダムとイブ」も「イブ」が「蛇」に唆されたことで「知恵の実」を得してしまい、「楽園」から「追放」されていますからね。
故に「環いろは」と「蛇」は結び付けることが出来るのです。(厳密に言えば「みかづき荘のメンバー」ですが)

続いて「環」と「大洪水」。
ノアの箱舟」は神の(身勝手な)怒りによる「大洪水」で世界中が海となり、生き残った僅かな者たちが再び世界を作っていくのですが、一言で言い表すとこれは「死と再生」の物語になります。では「死と再生」を別の言葉に置き換えると何になるか?

それは「輪廻」又は「転生」と言えるでしょう。あるいは永劫回帰かもしれません。
他にも候補があるかもしれませんが、いずれにしても「周り巡る」「繰り返す」「永続する」という意味合いの言葉になると思います。
そしてこれらの言葉の意味は「環」と合致します。上記で述べた通り、「環」という字には「終わりのない輪(環)」という意味があるのですから。

終わりのない「環」にも始まり(いろは)はある。

 

「環」と「イブ」

第8章の最終盤でいろははついにマギウスに捕らえられ、「イブのエサ」にされようとしています。同時に、神浜市にもう間もなく大規模な自然災害(=ワルプルギスの夜)がやって来ます。
以前にも考察しましたが、「いろは」という名には、「この世に不変なものは無く常に移り変わる」、即ち諸行無常という言葉が紐づいています。
そして、いろはは「イブ」を唆した「蛇」でもあります。

「環いろは」が紡ぐ物語。それは「死と再生」の物語なのかもしれません。
いろはが「イブのエサ」にされる時、そして、神浜市にワルプルギスの夜が現れる時に何が起きるのか?
第9章の幕開けが待ち遠しいところです。

ではまた(´・ω・`)ノシ

翡翠を加工した装飾品の一つに「勾玉」がある。「C」の形に曲げられたものだが、なぜこのような形をしているかはよく分かっていない。「動物の牙」という説もあれば「胎児」という説もある。

 

■参考URL
玉 - Wikipedia
ヒスイ - Wikipedia
ウロボロス - Wikipedia
大洪水 - Wikipedia
輪廻 - Wikipedia
転生 - Wikipedia

 

■余談
大洪水の神話というのは旧約聖書に限らず、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカ、と世界各国あらゆる所にあります。飛行機はおろか、地図も羅針盤も無さそうな何千年前の時代から似通った内容の物語が世界中に存在するのはなんとも不思議な話。もちろん活版印刷もありません。コロンブスやマゼランよりも早い時代に人類は世界一周を成し遂げていたのでしょうか?そしてどうやって広めていったのでしょうか?