「鶏」と「牧草」と「牛」、そして「出羽守」
放送大学「社会心理学」からの課題です。
「鶏」「牧草」「牛」の中から仲間外れを選ぶとしたらどれになるでしょう?
この質問は東洋人か西洋人かによって回答が変わる傾向があります。テキストによると、アメリカ人(西洋人)は「牧草」を、中国人(東洋人)は「鶏」を仲間外れとする回答が多いそうです。
これは西洋人と東洋人ではモノに対する考え方や捉え方(思考)が異なり、西洋人は「分析的」、東洋人は「包括的」な傾向があるからです。
分析的な思考と包括的な思考
「分析的な思考」というのは、対象を環境や周囲との関係から切り離して一つ一つを個別に観察し、分類化する考え方です。上記の例題で言えば「鶏」と「牛」が「動物」で分類されるため、「牧草」が仲間外れとなる訳です。「牛」と「牧草」が「牧場」という共通点(環境)で結べそうですが、一つ一つを単独で見ることで再分類されているのです。
これに対し、「包括的な思考」というのは環境や周りとの関係を見て対象を理解する考え方です。上記の例題で言えば「牛」と「牧草」が同じ仲間として括られます。「牧場という環境」の中でそこに生えてる「牧草を食べる牛」というイメージがあるため、「鶏」が仲間外れとなるのです。
なお、これらの思考様式に優劣はありません。また、西洋人・東洋人といった括り方をしていますが、国によっても考え方(いわゆる「国民性」)は違いますし、さらに言えば個人個人にも違いはあります。あくまでも「傾向がある」という話であることを付け加えておきます。
「出羽守」には気を付けろ
「出羽守」という言葉があります。「〇〇(主に西洋の国)では△△だから日本もそうするべきだ」という意見のことです。シンプルでインパクトがある文章なのでつい釣られがちですが、簡単に同意するわけにはいきません。
確かに日本には解決すべき様々な問題がありますが、他所の国がこういうやり方で上手くいってるからといって、それをそのまま日本に適用できるかと言ったらそれは無理があります。法律や制度が違いますし、何よりも考え方が違います。
文化や習慣の違いといった面まで考えられているのでしょうか?参考にはなるかもしれませんが、日本に合った形に「加工」しなければ、期待した効果にはならないでしょう。
個人でも簡単に意見が出せて、なおかつ共有できてしまうのが今の時代。「出羽守」のような安易な意見・主張には特に注意を払うべきだと思います。
ではまた(´・ω・`)ノシ
イラスト素材提供元
いらすとや
参考書籍
木を見る西洋人 森を見る東洋人思考の違いはいかにして生まれるか
- 作者: リチャード・E・ニスベット,村本由紀子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2004/06/04
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