旅と散歩の話

雑記系のブログ。旅行と地域ネタを中心に、心理学やサブカルチャーに関する話を書いています。

多数派の意見が必ずしも正しいとは限らない、という話

 

放送大学で「心理学概論」という講義を受講しているのですが、

その中で「12人の怒れる男」という映画が紹介されてたので

視聴してみました。

今回はその感想を書きたいと思います。

 

 

 

 まずはざっくりと内容を紹介します。

  • 子供が父親を刺し殺す事件が発生
  • 犯人はスラム出身の18歳の少年で前科もち。父親に虐待されながら育った。
  • 殺された父親も前科がある人間。借金なども多くあった。
  • 有罪なら第一級殺人となり死刑判決。
  • 12人のうち11人が有罪とするが、8番の陪審員だけが無罪を主張。
  • 陪審員制では全員一致しないと有罪に出来ない。
  • 有罪派が説得を試みるが、8番は有罪に出来ない点を論理的に指摘。有罪派の意見を次々と覆していく。

 

この映画で一番興味深かったのは多数派の意見ですね。

特に被告人の少年に対する感情的な意見。

中には「スラムで育てば犯罪者になる」

と発言する陪審員もいました。

 

心理学の用語に「帰属のエラー」というものがありますが、これは、

「他者の行為の原因を考える際に内的な要因を重視しすぎる傾向のこと」

を言います。

先ほどの陪審員の発言は正にその典型例と言えるでしょう。

 

確かに「スラム出身」でしかも「前科もち」と来たら

「こいつが犯人だ!」

と思いたくなるかもしれません。

しかしそれは心理学でよく聞く「バイアス」に過ぎません。

(バイアスとは「偏り」という意味。「先入観」や「偏見」と言い換えても良いと思います。)

 

実際、少年が有罪である決定的な証拠は何もありませんでした。

例えば犯行には「非常に珍しい特殊なナイフ」が使われており、

それだけで少年を犯人だとする発言がありましたが、

8番の陪審員も同一のものを所持。

「質屋で買えた」そうです。

 

また、犯行時には少年の「殺してやる!」という叫び声が聞こえた、

という証言もありました。

しかし、犯行現場の近くには鉄道が走っており、

非常に大きな電車の通過音がします。

そんな状況で少年の声を正しく聞き取れるのでしょうか?

 

このように8番の陪審員は有罪派の意見を一つずつ崩していき、

最後は全員が無罪とすることで評議は終了します。

 

まとめ

人間は「自分が多数派である」と認識すると、

「自分たちの取っている行動は正しい」と思い込むことがあるそうです。

また、「他者に受け入れられたい」ために同じ行動を取ることもあるそうです。

 

これらの思い込みや行動のことを「同調」と言い、

多数派が数で少数派をねじ伏せようとする様は

まさに「同調圧力」と言えるでしょう。

 

「寄らば大樹の陰」という言葉があります。

確かに多数派の中に居れば安心感が持てるでしょう。

安心感から有頂天になることもあるかもしれません。

しかし、多数派だから安心、というのは少し軽率な気がします。

 

その「大樹」は本物でしょうか?

もし「大樹」が「ハリボテ」だったら・・・?

 

多数派なら必ずしも正しいとは限らないのです。

ではまた(´・ω・`)ノシ

 

 

 

 

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