旅と散歩の話

雑記系のブログ。旅行と地域ネタを中心に、心理学やサブカルチャーに関する話を書いています。

「ユニバーサルデザイン」と「普通」という名の「障害」

4月から放送大学で「情報社会のユニバーサルデザイン

という講義を受講しています。

 

ユニバーサルデザインと言うと、

「障害者のためのもの」という印象がありますが、

それは大きな間違いです。

むしろ「障害者」よりも「普通の人」に

掛かって来る言葉だと思います。

 

今回は「ユニバーサルデザイン」と

「普通」という名の「障害」について書こうと思います。

 

情報社会のユニバーサルデザイン (放送大学教材)

情報社会のユニバーサルデザイン (放送大学教材)

 

 

 

バリアフリーユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインの話をする前に、

まずは似たような言葉である「バリアフリー」の話をしておきます。

バリアフリーは「障害(バリア)を除去する(フリー)」という意味の言葉で、

既存のモノに対して障害者でも使いやすくなるように改良することです。

鉄道駅でエレベーターを付ける例が分かりやすいですね。

 

これに対してユニバーサルデザイン

「年齢・性別・体力等に関わらず、最初から多くの人が使えるようにする」

という考え。

上記の例で言えば最初からエレベーターを付けるということになります。

そしてエレベーターは健常者にとっても使いやすいもの。

普段なら使う必要が無くても、

大きい荷物の持ち運びなどには便利ですよね。

 

このように「障害者にとっても使いやすいものは健常者にとっても使いやすい」

というのがユニバーサルデザインの考えです。

 

後付けのデメリット

さて、バリアフリーユニバーサルデザインの決定的な違いはどこでしょう?

それはバリアフリーが「後付け」なのに対し、

ユニバーサルデザインは「最初から」という点です。

 

では、最初から全体を考えるのと後付けで変更を加えるのでは、

デメリットが大きいのはどちらでしょう?

答えは後者です。

理由はコストが増大するのと、後付けの部分が蛇足になるからです。

 

上記と同じく鉄道駅で考えてみると、

例えば車いすの利用者ためにエレベーターをホーム上に設置しても、

設置した分ホームが狭くなってしまいます。

都心のラッシュ時などは数分おきに列車が飛び込んできますが、

そんな駅で狭いホームは危険そのもの。

本末転倒と言えるでしょう。

 

一緒にホームも広くできれば良いのですが、

当然そんな工事をしたら予算がさらに掛かってしまいます。

鉄道の運行にも支障が出るでしょう。

駅の外観も変わってしまうので、

せっかく調和のとれた美しいデザインをしていても、

バリアフリーの部分が「蛇足」となってしまい、台無しになりかねません。

 

逆に最初からバリアフリーを考えて全体を設計すれば、

ホームの広さも確保できるでしょう。

最初にかかる予算は大きくなるとは思いますが、

後付けの要素が無くなる分、

結果的にはこちらの方が予算が小さくなり、

外観も損なわずに済むのです。

 

「普通」という名の「障害」

そもそも世間に溢れるモノは誰が使うことを基準にしているのでしょうか?

それは「普通の人」です。

具体的には、

「統計上の標準的な体格・体力を持つ健康で若い男性」のこと。

1974年の国連バリアフリーに関する会議で定義されました。

 

しかし、世間はそんな「若い男性」ばかりではありません。

女性や子供、高齢者や障害者もいますし、

若い男性であっても体力的に劣る人がいます。

 

例えば若い男性(=普通の人)向けにデザインされた建築物や製品が

彼らにとって使いやすいでしょうか?

高いカウンター、重いドア、急角度の階段、判別しにくい文字etc・・・

挙げていくとキリがないのですが、

まだまだ「普通の人」向けのデザインはあちこちで見受けられます。

 

そしてこれはモノに対してだけの話ではありません。

社会にも「普通の人」という概念は蔓延しています。

 

高校を卒業したらすぐ大学進学するのが普通なのでしょうか?

正社員として就職して定年まで週5日勤めるのが普通なのでしょうか?

結婚して子供を2人作ることが普通なのでしょうか?

……

 

世間が言う「普通」に沿って生きることが悪いとは私は思いません。

しかし、その「普通」を高いハードル(=障害)に感じる人達は

決して少なくないと思います。

 

「障害」を取り除くには?

では、この「普通」という「障害」を取り除くにはどうしたら良いか?

それは「声を上げる」しかないと思います。

 

今はブログやツイッターを通じて誰もが気軽に発信できる時代。

何度も同じ事を言う事だって出来てしまいます。

 

私は「どもり」持ちで声を出すのが苦手な人間なので、

ブログもツイッターも無い時代は言いたいことが言えず、

言ったところで、

「ちゃんと言えよ!」「はっきり喋れよ!」

などと返されるのが関の山でした。

 

それだけに、気軽に意見が言える今の時代をとても幸運に思います。

例え口頭で伝わらなくても、

ブログの記事や自分のツイートを見せることだって出来ますし、

メモ帳に言葉を打ち込んでそれを見せることだって出来ます。

 

全ては使い方次第。

自分なりに使いこなすことで、

初めて「普通」という「障害」を取り除く第一歩になるのだと思います。

 

ではまた(´・ω・`)ノシ

 

 

■参考URL

バリアフリー - Wikipedia

ユニバーサルデザインってなんだろう

吃音症 - Wikipedia

 

■参考文献

情報社会のユニバーサルデザイン (放送大学教材)

情報社会のユニバーサルデザイン (放送大学教材)

 

 

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